矢野道雄先生 「密教占星術」講習会

平成25年11月25日

京都産業大学特任教授 矢野道雄先生から

増補再販されました

「密教占星術」ー宿曜道とインド占星術ー

の講習を三回に渡り開きました。

 

講演の主旨

真言宗における伝統的な星供伝授と矢野道雄先生の密教占星法を繋ぐ

 今回の講習会の持つ意義について少しご説明させていただきます。

 


 講師の矢野道雄先生は在家でありながら深く宿曜経に精通され、我々が今日用いる事が多い大正大蔵経版の宿曜経よりも覚勝本の宿曜経の方がより弘法大師御請来の原本に近く優れていることを発見されました。 

 

宿曜経が単なるテキストとしてではなく古代から続くインドの占星法と言う大きな枠組みの中から中国日本へと伝来されたものであり、天文学・数学・易学等々の分野に立ち入って占星法を分析されています。

 

 しかし矢野先生が密教の占星法についてこれだけの明確な知識と指摘をお持ちなのに対し、我々密教界側からは未だかつて何の反応も示していないことも事実です。

 

賛同もなく反論もない。

 

 今まで阿闍梨について星供の伝授を受けてもどうしても理解できないところがあることは皆さんも薄々お感じではないでしょうか。

 

 ましては一方で在家にあって「空海の星占い」等と称し単なる吉凶判断、運命・相性判断の材料として宿曜占星術を行う者も多く、真言密教の権威を貶め人身に迷いを与えることに対する、危惧を持つ者は少なくないと思います。
 今回の講習会は決して従来からの真言密教伝授による星供法の否定ではありません

 

修法において生じる迷える真言行者に一条の光明を与え新たなる修法観法への一助となればと心から願っております。                  

講師紹介 矢野道雄 京都産業大学特任教授

矢野道雄先生と密教占星術

 

 

 

 参照ページ

 

http://www.kyoto-su.ac.jp/liaison/kenkyu/message49.html

 

 今回講師をされる矢野道雄先生は1944年京都府にてお生まれになり、

京都大学印度哲学科から京都大学大学院にて梵語梵文学を専攻されました。

1973年より京都産業大学にて講師を勤められ、1984年に教授に昇進され、

現在は京都産業大学特任教授を務めておられます。 

1996年には「クーシュヤールの占星術書写本の校訂研究」で京都大学より

文学博士を授与されました。 

主な研究は科学史から見た古代インドの天文学・数学・占星術の原典訳と

研究を行われています。

 今回の講演となる「密教占星術」は昭和61年に出版されました。

矢野道雄先生は宿曜経の研究によって新たなる発見をされました。

 

  宿曜経について中国での翻訳者の果たした役割についての解明

  宿曜経成立過程の解明 下巻から先に編集 

  日本に伝えられた宿曜経の内、和本(覚勝本)の方が空海請来に近い 

  占星法の運用について従来の常識的理解の修正 

  宿の配当については「日」と言う単位ではなく「ティティ」であった。 

  宿曜経翻訳時に生じた「宿」の混乱を是正

  計都星の解釈についての明確な判断 

  天文学と宿曜経(覚勝本)において正確な探求が当時より行われていた

 

また机上の学問に留まらず幾度なくインド方面に出向かれ調査研究を

今もなお重ねられておられます。

 

 主な著作

 密教占星術 宿曜道とインド占星術 東京美術選書 1986.11

 占星術師たちのインド 暦と占いの文化 中公新書 1992.7

 星占いの文化交流史 シリーズ言葉と社会 勁草書房 2004.11

 インド数学の発想 IT大国の源流をたどる NHK出版新書 2011.5                                                                         他翻訳共著多数